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GOARNについて

GOARNとは?

“Global Outbreak Alert and Response Network”の略で、エボラ出血熱等の国際感染症の危機発生時に世界屈指の感染症対策チームを迅速に派遣・運営する国際的な枠組みとして、世界保健機関(WHO)や全世界のパートナー機関により2000年に設立されました。

GOARNは、医療・公衆衛生機関、国連機関、人道支援団体など全世界の約300の専門機関のパートナー機関から構成されています。
そのネットワークを活かし、公衆衛生や人獣共通感染症、食糧危機等の危機に直面している国へ専門家の派遣や技術支援を行っています。
WHO本部内にはGOARN運営支援チーム(GOARN Operational Support Team)が事務局として設置され、パートナー機関の代表から
構成されるGOARN運営委員会(GOARN Steering Committee)は、GOARN活動の計画、実施、そして、評価、戦略策定を監督しています。

GOARN設立当初から2023年6月までに、170件の技術支援に対して約3,500人以上の専門家を派遣し、115カ国がその恩恵を受けました。
派遣者の主な専門分野は、疫学・サーベイランス、検査、調整、ケースマネージメント、感染予防管理となっています。

GOARN支援要請ミッションへの派遣には、GOARN研修の修了や国際的なアウトブレイク対応の経験が重視されています。

GOARNの公式サイトはこちらです。
また、GOARNの概要と2022~2026年の戦略について、以下のサイトに掲載されています。
“Global Outbreak Alert and Response Network (GOARN) Strategy 2022-2026”

GOARNパートナー機関とそのフォーカルポイントとは?

GOARNパートナー機関は、国際感染症のアウトブレイクへ対応できる機関であれば参加できます。
日本国内では、2023年12月時点で17機関のパートナー機関が登録されています。一方、各パートナー機関内で指名された担当者は
フォーカルポイントと呼ばれ、その機関が積極的にGOARNに関わっていけるよう支援する役割を担います。
フォーカルポイントはGOARN派遣のみならず、あらゆるGOARN活動においてWHO GOARN事務局とその機関との橋渡しを行います。
GOARNパートナー機関についてご関心、ご加入希望の機関は、goarn@who.int へご連絡をお願いします。

GOARN派遣に応募するためには?

アウトブレイクへの支援要請が全世界のGOARNパートナー機関のフォーカルポイントへ発出され、GOARNパートナー機関に所属する、支援要請条件を満たした専門家はフォーカルポイントを経由して支援要請へ応募することができます。
他方、日本では、GOARN研修修了者でGOARNパートナー機関に所属していない専門家の応募に関する相談業務を弊センターが担っています。

国立国際医療研究センターにおけるGOARNへの取り組み

国立国際医療研究センターは、2019年度よりWHOの協力のもと、GOARN研修 (GOARN Tier 1.5 Training Workshop)注1を日本で開催し、GOARNについての理解を深めGOARNで活躍できる専門家の人材育成に取り組んでいます。
2022年からは、「日本国内GOARNパートナー機関エンゲージメント会議」を実施し、パートナー機関としての役割の確認、GOARN活動への課題の整理、ネットワークの強化等を図っています。2023年は研修と会議に加えて、“Training of Trainers(ToT) for Tier1.5”(指導者育成研修)を行い、Tier1.5 研修の持続性と自国人材によるTier1.5研修実施を目標に、引き続き人材育成に尽力していきます。
2022年には、日本からのGOARN派遣を促進するために、GOARN研修修了者などを対象とした“JAPAN GOARN Roster”を開設し、GOARN支援要請だけでなく、派遣に役立つ技術研修やセミナー、GOARN関連報告会などの情報を発信しています。
その一環として、パートナー機関に所属していない研修終了専門家の応募申請に関する相談業務も担っています。
国立国際医療研究センターでは、2022年12月に国際感染症センター内に国際感染症危機管理対応推進センターを設立し、日本でのGOARN関連活動を推進しています。その中で、GOARNが開催する戦略会議やTier2.0、Tier3.0といった一連の研修に研修生もしくは講師として参加し、GOARNに関する知識を深め、派遣に必要な技術や能力を学ぶだけでなく、専門家の育成方法や研修手法を習得することで研修の質の向上に貢献しています。

注1:2023年度のGOARN Tier1.5Training Workshopの研修生募集要項は以下のリンクでご確認できます。
https://gic.ncgm.go.jp/news/20230822150247.html