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ザンビア共和国のコレラ対応で日本人感染症専門家が活躍
~GOARN※1派遣帰国後報告会を開催しました~
厚生労働省の委託事業「国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業」にて、国際感染症危機管理対応推進センター※2は、WHO GOARNを通してコレラ対応の臨床管理専門家として、ザンビア共和国へ5週間派遣された日本赤十字社和歌山医療センター感染症内科部の小林謙一郎医師をお迎えして、2024年4月24日に「GOARN派遣帰国後報告会」を開催しました。
当報告会には、日本国内のGOARNパートナー機関をはじめ国際協力職員や医療従事者など37名がオンラインでご参加くださいました。
小林医師からは、GOARN支援要請への応募から派遣までの流れ、コレラの状況、現地保健省のコレラ治療センター(CTC; Cholera Treatment Center)開設等の対応、医療現場の様子、世界保健機関(WHO)による物資支援や技術支援、WHO支援による経口補水ポイント(ORP; Oral Rehydration Point)などの地域での取り組み、そして、臨床管理専門家の業務についての発表がありました。その中で、現地の人々の間にはコレラに対する差別・偏見も根強いため、教育啓発を行って行動変容を促して医療に繋げたり、更なるコレラ発生を見据えて現地医療スタッフのコレラ対応能力の底上げを図る取り組みが重要であると学びを共有下さいました。
質疑応答では、当時「国際協力機構(JICA)ルサカ郡総合病院運営管理能力強化プロジェクト(カシオペアプロジェクト)」のチーフアドバイザーを担っていた国際医療協力局の法月正太郎医師より、地域での高い死亡率については平時からの医療不信や偏見による治療受診行動の遅れや、重症化した場合の医療機関へのアクセスの悪さ等が要因として考えられることから、地域の医療受診行動を分析して対策の検討が必要であること、そして、ザンビアのような診察器具等が整わない中での対応は日本での災害等緊急時に活用できると提案くださいました。
新型コロナウイルス対応以来約2年ぶりとなる日本人GOARN派遣者の今回の報告会では、GOARN派遣についての最新情報を聞くことができる貴重な機会となりました。また、ザンビア共和国の保健省やWHOだけでなく、JICA等日本の機関との連携や情報共有が功を奏して、より包括的なコレラ対応となったと評価を受けました。
なお、ザンビア共和国でのコレラ対応支援要請は2024年5月で終了となりましたが、引き続き世界の健康危機対して感染症専門家による支援は必須となっています。
※1 GOARNは、Global Outbreak Alert and Response Networkの略で、WHOが設立したネットワークです。このネットワークを活かし、感染症等健康危機に直面している国を技術的に支援するための「支援要請(RFA: Request for Assistance)」を全世界のGOARNパートナー機関(登録総数約270機関)に発出し、感染症専門家の派遣を行っています。
※2 弊センターは、厚生労働省の委託事業「国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業」において、WHO GOARNの活動を推進しています。